しんりのblog

思ってる事、好きな事、トライした事などなどを書きます。

いくらで売るか?part 1

先日Amazonプライムの年会費が3,900円から4,900円に値上げになり、Twitterでは賛否両論渦巻いていた。
togetter.com

個人的にはこの値上げはそれぐらい全然払うよと思った。
Primeビデオをよくみるので、それだけでも元が取れるし、送料無料とかお急ぎ便が使えるとか便利すぎて、提供価値的には月4,900円でも安いじゃないかと。

それでも値上げをすると不満はでる。
コストを最重要視するお客さんは安ければ安いほうがいいし、今回のように事前にコミュニケーションがないとレピュテーションリスクが非常に高い。
でもそのリスクを判断した上で、企業として利益を追求するという観点であれば値上げしたほうがいいケースは多いし、業界、日本の為にも値上げすべきケースは多い。
そもそもAmazonが(値上げしたとしても)この金額だと、有料動画サービス、ECサイト、小売等は、価格勝負は厳しいからよっぽど尖った強みがない限り収益性はどんどん悪くなると思う。
で収益性が下がると、投資も出来ないのでサービスの質が悪くなり、更に客離れが続くという悪循環が続いちゃうんじゃないかなーと危惧する。

いい機会なので、一度自分の値段に対する考えを整理しておこうと思う。

何故価値より安すぎる価格で売ると良くないのか?

ご存知のように先進国の中でも日本はダントツでデフレが続いており、物価が上がっていない。
物価が上がらない理由は、人口が増えておらず需要が伸びないなどいろんな要因があるが、企業が値上げをしなかった、低価格で市場シェアを取る選択をした企業が多数あった事などに起因していると思う。
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資料:GLOBAL NOTE 出典:OECD

そして平均年収もG7で推移を見ると、軒並み上がっている中、日本とイタリアだけがあがっていない。

昔のように人口が増えていく局面では、需要も増え値上げしても販売量が増えるという状況だったと思うが今は勝手に需要が増えるというケースは少ない。
売上が上がらないとコストを抑えるしかないので、給料も下がっていく。
給料が安くても物価が安いなら別にいいんじゃないかと一瞬思うけど、海外と比較して相対的に低いと優秀な人材が外資に取られ、日本の会社の競争力がどんどん落ちていく。
また国内でも人の取り合いになって人件費が高騰すると、利益率の低い会社は赤字になるか質を下げるしかなくなる。
性能、品質、サポート等で劣ると値上げは難しく、更に値下げでしか対抗できなくなる。

値上げは出来るのか?

じゃあ値上げをすればいいじゃんと思うけど、値上げをするのは難しい。
自分は今まで所属した全ての会社で値上げのタイミングがあり、営業としてお客様に説明する立場だったから説明には非常に苦労したし、折角価値を理解いただき導入してもらったお客様に値段を上げますというのはとても心苦しかった。
特に値段のロジックが自分でも腹落ちしていないと説明は苦しく、外資の会社にいた時にヘッドクォーターから消費者物価指数に合わせて毎年値上げをするという話が来た際にはお客さんにどうやって説明しようかずっと悩んでいた。

でもうまく値上げしてるなという企業、業界はある。
先日日経で、外食業界はデフレから抜け出せていないが、カフェチェーンはうまく単価を上げているという記事を読んだ。
www.nikkei.com
カフェ業界を引き上げてきたのはスタバだと思うけど、自分も行くと1000円弱使ってしまうし、コーヒーだけでなく、快適なスペースや色んなメニューでうまく客単価を引き上げてるなと思う。
ただコーヒーの値段を上げているわけではないので納得度は高いし、それが高い思うお客さんはターゲットにしていない。
カフェチェーンは客単価や収益性を常に意識している企業が多く、各企業だけでなく業界としていい流れになっているのだと思う。

一方、ちょっと前に吉野家が最終赤字に転落という記事も見た。
limo.media
人件費や原材料費が上がる中で、客単価が上げられておらず売上は好調なのに赤字になってしまっているとの事だった。
コストを自分達でコントロールできないかつ変動費が大きいので、構造的に赤字になっており売上が伸びるほど赤字が膨らんでしまうため、値上げ以外に手の打ちようが無いように感じる。

でも値段をあげると今までのお客さんが離れて売上が落ちるので、中々踏み切れなかったのかなーと思う。
全てのお客さんをターゲットにして利益をあげるという事は、高品質な製品を低価格で提供しコストも非常に安いという事なので、限りなくハードルが高いと思う。
AmazonGoogleといった一部の企業を除いては、誰をターゲットにするのかを明確にして値付けをしたほうがいい。
売上を増やしてシェアを取るのか、利益を取るのかはどの会社にとっても大きな問題だと思うけど、個人的には利益を取るほうがいいと思う。

part 2ではなんで利益を取るほうがいいと思うのか、あと昔所属していたキーエンスはこれが非常にうまかったと思うのでそこら辺を書いてみようと思う。